Hazy moon night
「来月、うちの音大主催のピアノコンクールがあるんだよ。国内のコンクールでも、結構レベル高いやつ。学内選考で入賞してるから、本選に出る事になっててさ。」

「ハヤテってスゴイんだね…。」

今まで当たり前のように聴いていたハヤテのピアノの腕前が、自分の想像以上のものである事にメグミは驚いている。

「いや…。スゴイかどうかは知らないよ、自分ではわからないから。でも、今回のコンクールで、終わりにしようと思って。」

「何を?」

「母親のために弾くのを。今まで兄貴と弟の分の期待を背負ってきたけど、これで終わりにしようと思ってる。」

メグミはハヤテの横顔を見ながら、黙ってその話に耳を傾けていた。

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