Hazy moon night
しばらくして、そろそろ音楽室を出ようとハヤテが残っていた部員たちを促すと、最後くらい一緒に出ましょう、と言ってハヤテを取り囲んだ。

ハヤテは鞄を持って鍵を閉め、部員たちと一緒に音楽室を出た。



渡り廊下に差し掛かった時、渡り廊下の向こうを走って行く、髪の長い見慣れた後ろ姿が見えた。

(あっ…メグミ…。)

昨日ハヤテは、メグミの話を何一つ聞こうとしなかった。

引き留めようとするメグミの腕を振り払い、自分の言いたい事だけを吐き捨てて、泣いているメグミを振り返りもせずに別れた。

せめて話だけでも聞いて欲しくて待っていたのかも知れないと思いながらも、今のハヤテにはメグミの言い訳も真実も何もかも、受け止める自信はなかった。

(今更何を信じればいいんだ?)


< 506 / 651 >

この作品をシェア

pagetop