Hazy moon night
それなのに、もう終わりにしたいと言って別れたはずの浅井から“春になったら結婚しよう”と言われた時は、浅井の妻への罪悪感と、ハヤテはずっと一緒にいてくれるだろうかと言う気持ちで迷いが生じて、ハッキリと断る事ができなかった。

終わらせたはずの許されない恋が、現実的にプロポーズと言う重い枷に姿を変えて、まだ若いメグミの心に重くのし掛かった。

一人の寂しさに慣れているはずなのに、愛に飢えて育ったメグミは、体だけでもいいから誰かに求められる事でひとりぼっちの寂しさを埋めようと、ずっと背伸びをしてきた。

求められる事で寂しさを埋めようとしたはずなのに、付き合いが長くなるほど、寂しさと虚しさが募った。

友達に“彼氏”として紹介する事も、手を繋いで街を歩く事もできない。

会いたい時に会えず、寂しいからそばにいてと引き留める事もできないで、分かりきった嘘にすがって、なんとか自分を保っていた。

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