Hazy moon night
「あっ…。」

振り返ったハヤテの目に、傘をさしてたたずむ一人の若い女性の姿が映る。

(メグミ…。)

駅前の喧騒が遠ざかり、激しくなった雨音だけが、立ち尽くすハヤテの耳に大きく響いた。

激しい雨の中、二人は傘をさして立ち尽くしたまま、しばらく見つめ合った。

「どうしてここに…?」

ハヤテの口から、無意識に言葉がこぼれた。

「約束したから…ここに来れば会えるような気がしたの…。」

メグミはうつむいて、顔を隠すようにして呟いた。


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