Hazy moon night
「もう少し、こうして歩きたいなと思って。メグミが高校生の時、よくこうして学校から歩いて帰ったな。」

「ハヤテが合唱部の伴奏やってた時だね。まだ1年くらいしか経ってないのに、なんか懐かしい。」

「うん。そっか…まだたったの1年か…。」

それからしばらく、黙ったまま手を繋いで、月明かりの下を歩いた。

大きな池のある公園の散歩コースを、池に映る月を見ながらゆっくりと歩く。

暦の上では春になったとは言え、時折冷たい風が吹き付け、メグミの長い髪を煽った。

「やっぱり夜はまだ寒いね。」

「朧月夜にはまだ早かったな…。」

ハヤテは繋いだ手をコートのポケットに入れ、空に浮かぶ月を見上げた。

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