Hazy moon night
その後、卒業公演まで、ハヤテはメグミに一度も会わなかった。

卒業公演で弾く曲を練習していたハヤテが、突然弾くのをやめ、ため息をついて、違う曲を弾き始めた。

ロンドンに行くと決めた日から、何度となく弾き続けたその曲は、ハヤテが生まれて初めて作った曲だった。

ハヤテは、メグミへの想いを込めて作ったその曲を、卒業公演で弾く事にした。

メグミのために弾くピアノを、目の前で聴いてもらえるのは、きっとこれが最後だ。

約束も何も残せない代わりに、せめて、大切な想いを込めた曲をメグミに聴いてもらいたい。

ハヤテは、卒業公演が終わったら、今度こそ、ロンドンに行く事をメグミに打ち明けようと決意した。




< 606 / 651 >

この作品をシェア

pagetop