Hazy moon night
メグミが笑ってハヤテを見上げると、ハヤテはそれには答えず、唇をギュッとかみしめた。

「卒業式が済んだら…ロンドンに行く。」

苦しげに声を絞り出すハヤテの顔を、メグミはジッと見つめた。

「うん…。やっぱり行くんだね…。前に雑誌で見たから…もしかしたらって思ってた。」

「ごめんな…。ずっと言い出せなかった。」

黙り込んでしまったハヤテを見つめて、メグミはそっと唇を重ねた。

「何も言ってくれないの?ついて来いとか、待ってろとか、言ってくれないの?」

「言えないよ…。先の事なんか全然わからないのに、そんな無責任な事…。」

「ハヤテがついて来いって言うなら、私は行くよ?待ってろって言うなら、私は…。」

「ごめん…連れては行けない…。でも、待ってて欲しいなんて言えない…。」

メグミの目に涙が溢れて頬を伝った。
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