Hazy moon night
メグミが席に着いて間もなく、お色直しを終えた新郎新婦が入場して、キャンドルを灯しながら招待客のテーブルを回った。

幸せそうに笑うアオイの笑顔を見ながら、メグミは心の中で小さくため息をついた。

あの頃、ハヤテとの幸せな結婚を夢見ていた。

ハヤテがロンドンに発ったあの日、心にもないひどい言葉でハヤテを見送り、柱の陰に隠れて泣きながら、心の中で何度も何度も“行かないで”“置いて行かないで”と叫んだ。

あの別れがなければ、今もずっと、ハヤテは隣にいただろうか?

ずっと、ハヤテを待っていた。

あれから誰になんと言われても、好きになれる人はいなかった。


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