あのころ

宿命転換

『行解すでに勤めぬれば三障四魔紛然として競い起こる』
第六天の魔王が笑っている。信心やめよと脅している。

勤行始めてちょうど100日目。まさに経文どおり大難がおきた。
ほんとの戦いはこのときに始まった。多くはこの時退転すると思ったらしい。

ところが私は笑みを浮かべていたのだ。さぞ不気味だっただろう。
「ほんまやこの信心!これで宿業がひとつ切れた!」

かわいそうなのは妻と娘だ。いや増して不安だっただろうと思う。
妻はこの時妊娠2ヶ月だったのだから。

私の宿命との戦いはこのときに開始された。と同時に
私の人生と使命が決まったのだ。
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