あのころ

御本尊が来た

早々とご仏壇だけ用意して勤行を始めた。
いろんな人々が出入りしてきて地区の総B長、大B長。
婦人部、学内の学生部、地域の学生部。女子部。

連日さまざまな会合に参加した。
間違って女子部の会合に出たこともあった。

早々と勤行を憶えて座談会に出席し教学を学んだ。
言われたとおりに素直に実践した。とにかく楽しかった。
ヒッピーたちを座談会につれてきたりもした。

「行解すでに勤めぬれば三障四魔紛然と競い起こる」と経文にある。
1ヶ月たった頃先輩に食って掛かった。
「何もおきませんが正しく実践できてないのでしょうか?」

「ふむ」
「古いホースに水を流すとたまっていた汚れがどっと出る。この信心を始めると
過去の宿業がどっと出るって言わはりましたよね?」

2月に入ってひょっとした拍子にキミちゃんの鼓膜を破ってしまった。
救急車で病院へ。ひょっとしたらこれか?と題目を唱えた。しかし

「鼓膜はすぐにふさがりますから大丈夫ですよ」とのこと。
それでも三障四魔が起こり始めたと半ば喜び、
さらに勤行、唱題、活動、教学にと入れ込んだ。

そしてついに3月10日、やっと我が家に御本尊が来た。

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