探求者たちの苦悩




 感傷的にもならない乾いた心を自覚すると、雑賀クンはどうでもいいことを訊ねてきた。


「荷物は、これだけですか」

「? まぁ、そうだけど……」


 彼の意図がわからず正直に答えると、私の鞄を手にする。


「じゃあ、ちょっとすみません」


 言うなり、手を引いて背を向けた。


「わ……ひゃっ!」

「よっと」


 軽い動作で雑賀クンに背負われてしまう。


 な、な、何のつもりなんだ。
 どこまでサービスするんだろう、このひと。


 でも、抱えるならおんぶより……



「お姫様抱っこは、今度にしましょう。荷物もあるし、ドアの開閉もしなきゃいけないんで」


 いかん。考えてたことが口から出ていたのか。
 そっと唇を押さえたから、文句も言えない。


 そんなリップサービスしないの。
 お姉さん、期待しちゃうよ。



 とか、なんとか。


 言いたいことは山ほどあるけど、雑賀クンの場合、他意はないんだろう。
 親切の延長線ってところか。


 少し、胸が締めつけられて苦しい。
 彼が優しいからなのか、拒絶する負い目なのか、それとも、




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