探求者たちの苦悩
順風満帆とは、このことだ。
腰かけの仕事をしながら、相手を吟味すること五年。
三十代を目前にして、ようやく候補を絞り込めた。
向こうに気があることは知っていた。
散々、期待させて焦らしてみた。他にも相手はいると匂わせたら、俄然、強引に迫ってきた。
同期の中じゃ一番、出世コースを順調に登ってきてる。
本当は、やり手の霊術士がよかったけれど、特許で稼いでくれれば何の問題もない。その当てもある。
プライベートでも、金遣いが荒いわけでもなさそうだし。
酒も煙草も、ギャンブルもやらない。
顔立ちも整ってる方だし、身体の相性も悪くなかった。
まずまずの成果に、自画自賛したくなる。
今日の仕事は互いに遅くなったけれど、食事をとろうと約束していた。
鼻歌でも出そうな気分。
きっと新たな進展があるのだろう。
今までの努力が報われる日も近い。
待ち合わせ場所のエントランスで、時間を確認する。
指定よりも遅れているが、気にならない。