探求者たちの苦悩
傷口に塩をすり込むように、耳元で囁く。
悠真は身じろぎさえしない。
ただ顔を逸らし、時が過ぎるのを待つだけ。昔からそうだ。
世間一般での悠真の評価は、常に冷静沈着で寡黙で真面目。
笑っちゃう。
こいつは、ただのヘタレだ。
欲しいものが欲しいと言えない、子供のまま。
予想外の出来事が起きると、すぐに慌てるし、騒ぐし、不誠実だ。
自分だけが被害者ぶって、何もしない。できない。
わかっていても教えない。その方が面白いから。
密着している肌は、とても熱い。
混乱して、恥ずかしがってる。
わたしは、そっと着ているワイシャツの襟元をくつろげた。
鎖骨や胸元の跡を見せつけるために。
「ねぇ、何したの? わたしの全身を撫でて、舐め回したの? 違うなら、否定しなくちゃ。その口で、ひとつひとつ訂正してよ。教えてよ」
悠真の視線が、わずかに泳いでる。
はだけたシャツの胸元が気になって仕方ないようだ。
胸中で嘲笑う。
このむっつりスケベが。