探求者たちの苦悩




 引くに引けないなら、押し切るまで。
 自分から墓穴を掘ってみる。


「なら、雑賀クンって研究を続けてどれくらい?」

「そうですね……大学の卒論ではじめてどっぷり一筋ですから、六年くらいでしょうか」

 う~ん。
 やっぱり歳下かぁ。

 大学四年は二十二歳。
 院で二年、研究員が三年だとすると、二十七だもんな。


 ん?
 ガッカリしてないよ?
 ガッカリしてないってば。

 むしろ、これで予防線を張れる。

 ごめんね。雑賀クン。
 君が悪いわけじゃないんだよ。

 傷心したアラサー女子は、こうして意識しないと迷惑をかけちゃうんでね。一線引かせておくれ。


 などと、自分勝手な論理武装をして、完全に四方を固めてみる。

 自分でも嫌になるけど、仕方ない。
 男の腕の中で幸せになれる可愛い女の子は一握りだ。

 手に入れられないなら、ひとり逞しく生きてくしかない。
 そのためには、どうしても近寄ってほしくない部分がある。


 気付かれないよう、ひたすら隠せ隠せと念じれば、不思議そうに首を傾げてくる雑賀クンが何かに閃いた。




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