探求者たちの苦悩




 無視すれば、興味本位の人間は諦めて帰ることを知っているからかもしれない。
 たまたま侵入した者に対しては接触してこない。


 逆に、恐ろしいのは何かしらのアクションを起こした時だ。
 そこには許しも遠慮もない。長い年月をかけて積もった怒りをぶつけてくる。

 土地神や精霊でないだけましだけど(彼らは人間の概念なんて通用しない)、その次に人形は厄介な相手なのだ。
 力を持った経緯からして、簡単に除霊はできないだろう。


 諸々の事情を空気で察したのか、悠真が重い溜め息をつく。


「要するに、そこの性悪女と出来の悪い猿がしでかしたことなんだな。
 兄貴、もういいだろ。そいつらをクビにしろ。いつまで経っても、あんたの足を引っ張るしか能がない」


 きっぱり、すっぱり。
 スーパードライ。


 いや、一刀両断?
 悠真クンの毒舌に、研究室の温度がさらに下がった。
 まるで、ツンドラの平原にいるみたい。


 言われた将生は慣れているのか、特に反応を示さなかったけど。




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