青春に、寄り道中。
わたしだったらテスト前の休み時間とかで勉強するだけだし……。
こんなんだから、成績も悪いんだろうけど。
「……吉井さんは?なにしてんの?」
「あ、わたしは自主練……かな」
「吉井さんって、本当に陸上好きなんだね」
高瀬くんは「はは」と笑いながら、そう言った。
そこで話題が尽きて少し沈黙が続いたけれど、高瀬くんが「そういえば」とつぶやいた。
「昨日、かっこよかったよ」
「……え?」
「走ってるとき」
「わ、わたしが?」
「そう。 フォームとかキレイだったし、かっこよかったよ」
高瀬くんは柔らかく笑ってそう言った。
そんな彼のまっすぐな瞳と目があった。
なんだかよくわからないけど、そう言った高瀬くんを見て胸がドキッと鳴った。
「あっ、ありがとう……!」
恥ずかしくて頬が熱くなって、顔をうつむかせてそう言った。