青春に、寄り道中。
「うん、わかった。 皐くんね」
橋本くんは「おう」と大きな目を細めて笑った。
いまさら下の名前で呼ぶのも、なんだかくすぐったい気もする。
というか、男の子を下の名前で呼んだことって、あんまりないかも……。
「そろそろ勉強しよう。 今日はなにやる?」
「わたしは……古典やろうかな」
「じゃあ俺も古典やる」
わたしと皐くんがそう答えると、高瀬くんは「わかった」と言った。
みんなでテーブルの上に古典の教科書やノートを開く。
そこには、話の内容もよくわからずにただ板書をしたものがあるだけ。
いくら品詞分解とかの説明が書いてあったって、やっぱりよくわかんない。
うーん、古典って本当にわからないんだよなあ。
特に漢文とか、まったく意味わからないし。