青春に、寄り道中。
・ ピンク色の淡い期待
テストも終わり、11月に入った。
次の3限は、外で体育。
2限が終わってからの10分の休みで急いで隣の校舎の更衣室へと向かい、そこで体育着に着替えていた。
「寒くなったね〜」
沙莉の言葉に「そうだね」と返した。
いままでずっと半袖とハーフパンツで体育をやっていたけど、さすがに上のジャージは着ないと寒そう。
着替え終わって更衣室を出ようとしたとき、持ってきたはずのジャージを取り出そうとしたけど、見当たらなかった。
「あ! わたし、ジャージ忘れちゃった……」
「うそ! すっごい寒くない?」
「たぶん教室にあるはずだから、沙莉は先に言ってて!」
「わかった。かすみん、遅れないようにね」
沙莉の言葉に「うん!」とうなずいて、小走りで教室へ向かう。
渡り廊下を渡って隣の校舎へ移り、階段を上る。