青春に、寄り道中。
体育前にこんな運動して大丈夫かな……。
体育館を5階分上るのって、部活でやるメニューくらい結構ツラい。
だから体育で動ける気がしないよ。
というか、教室にジャージあるかなあ。
ちゃんと持ってきたはずなんだけど不安だな。
「あっ、高瀬くん……!」
4階まで上がってきたところで、ひとりで階段を下りてくる高瀬くんが目の前にいて、思わず足を止めた。
移動教室なのか、高瀬くんの手には教科書やノートがあった。
「運動するとき、髪結ぶんだね」
「え?あ、うん! 邪魔だしね」
……って、こんな話してる場合じゃないや。
そう思って高瀬くんに「じゃあね!」と言って横を通り過ぎようとしたとき。
「似合ってる」
と高瀬くんはつぶやいて、わたしの結んだ髪を触ったような気がした。