青春に、寄り道中。
わたしと同じ種目に出る沙莉と体育倉庫からグローブとボールを出して、野球のコートへ移ってキャッチボールをし始めた。
だけど少しやってから休憩として、得点板の横に置いてあったベンチに座った。
他にもソフトの練習をしているクラスメートや1組の子もいるけど、みんなおしゃべりを楽しんでいる。
球技大会に本気で挑む人はいないみたいで、練習も遊ぶ感覚でやるみたい。
「ねえ、沙莉」
「うん? なーに?」
「あのさあ、変なこと聞いてもいい?」
沙莉はわたしの言葉に「変なこと?」と一度は首を傾げたけど、すぐにうなずいてくれた。
「……恋って、どんな感じ?」
「えっ!? 恋?」
「う、うん」
目をまん丸にして聞き返してきた沙莉。
その反応は予想どおりのものだった。
だってふつう、いきなりこんなこと聞いたら驚くに決まってるし。