青春に、寄り道中。
そう思いながら教室を出て昇降口へと向かった。
下駄箱では雨にも負けないくらいのいつもより大きな声で話している生徒たちがいた。
昇降口の外に見える雨に、どうしてもやっぱり憂鬱になってしまう。
それでもローファーに履き替えて、外に出ようとしたとき。
後ろからトントンッと肩を叩かれて、振り返った。
「わっ、高瀬くん!」
若菜とかかなあと思っていたけど、そこに立っていたのは高瀬くんだった。
結構前に帰っていなかったっけ……?
どうしてまだ学校にいるんだろう。
そう思っている間、高瀬くんは中履きからローファーに履き替えていて。
わたしの隣に来ると、「行こう」と言ってわたしの腕を引いた。
え?ど、どこに行くの?
というかみんなに見られてるって……。
周りからの視線が恥ずかしくて、高瀬くんに掴まれた手首が熱くて、とにかく頭がいっぱいいっぱいになっちゃってなにも話せない。