青春に、寄り道中。
「でも、本当にいいの?」
「……なんで?」
怪訝そうに聞いた若菜に、高瀬くんは少しイラッとしたようにそう聞き返した。
それにしても……なにこの空気。
重いような、不思議な感じ。
沙莉も固く口を閉じたし、皐くんも苦笑いを浮かべている。
「吉井さんは?」
「え?」
「俺、やってもいい?」
そんなの、高瀬くんが「やる」って言ってくれているなら……。
4人のいろんな感情を抱えた視線が、一気に私に集まる。
……もちろん、いいに決まってるよ。
そう思って、「うん」とうなずいた。
「じゃあ俺、やるよ」
「……高瀬がそんなに言うなら、わかった。あたしが先生に言っておくよ」
若菜はしかたなさそうにそう言って、そのあとその話が続くことはなかった。