青春に、寄り道中。



「え? どうして?」



わたしの言葉に、若菜はきょとんとした様子でそう聞き返してきた。


どうしてって……。

だって、高瀬くんがマネージャーをやるって言ったとき、みんな変に驚いていたじゃん。


その理由が気になって、胸の中がもやもやするんだ。

でも聞いちゃダメかな?



「……ううん、なんでもない」



そう言って、若菜から視線を逸らして顔をうつむかせた。


聞いちゃダメなような感じがした。
やっぱりわたしにはまだ、4人の仲に足を踏み入れることはできないなあ。



とにかく、高瀬くんがマネージャーをやることに、わたしはふつうに驚いた。

でも、なんだかがんばれそう。
きつい冬季練習だってきっと、乗り越えられる。


わたしはなにも知らないからこそ、ただそう思った。






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