青春に、寄り道中。
「吉井さん? どうした?」
「あ……ううん、なんでもないよ」
マーク走の準備をしながら、思わず高瀬くんのことをぼーっと見ながらそんなことを考えていた。
こんなの、わたしらしくないなあ……。
そう思って首を横に振り、マーカーを置く場所の計算に頭を使う。
数学って苦手だし、こういうふうに1メートル70センチずつにマーカーを置いていくとか、そういう計算はむずかしい。
「次は、15メートル20センチ」
「あ、ありがとう」
隣で1メートルずつにミニハードルを置いていたはずの高瀬くんはすでに15個全部並べ終えていた。
だから、すぐにこっちにきてわたしよりも先にマーカーを置く場所を計算して教えてくれた。
それにしても、手際がいいなあ。
まだ部活にきてから3日しか経ってないのに。