青春に、寄り道中。



「それだけでも、教えて」

「……いいけど」



若菜はそう答えたけど、どこかためらっているようにも見える。


それだけでなんとなく、わかった気がするよ。



高瀬くんがわたしの知らない人を好きなら、そこまで傷つかないと思う。

だけどその相手がわたしの仲のいい人なら、傷つかないわけない。


わたしは、高瀬くんのことを応援しなくちゃいけないんだね。



「それって、もしかして沙莉?」

「……うん、そうだと思う。 だって高瀬、中3のときからずっと沙莉のことを見てたから」



そうだったんだ。


高瀬くんを学校内で見かけたときによく目が合うのも、高瀬くんがわたしの隣にいた沙莉を見てたからだったんだ。

……目が合うなんて、わたしのカン違いだった。


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