青春に、寄り道中。
・ 青信号点滅、注意
結局わたしは、悲しいことがあると走り込んでしまうらしい。
走って、走って、走って。
「ばかじゃないの」なんて言われるくらい走って、忘れようとしちゃう。
ーーいまだって、そう。
今日のメニューである200+200のセット走も、設定タイムより3秒くらい速く走ってる。
でもべつに、辛くない。
これで振り切れるなら、辛くない。
「おい、吉井。なんだその走りは」
2本目の200をゴールしてすぐ、1セットはこれで終わりだからと飲み物を飲みに行こうとしたとき。
ちょっと怒り気味の先生に声をかけられた。
「……すみません」
「そんなに設定タイムより速く走ったら、3セット目にバテるだろ」
そう言われても、クセなんだもん。
失恋の悲しみって、そう簡単に振り切れるようなものじゃないし。
……なんて、先生に説明したってわかってもらえないんだろうけど。