青春に、寄り道中。
思い出すだけで胸が苦しくなって、この名前をつけてくれたお母さんとお父さんに申し訳なくなる。
「吉井さん? どうかした?」
歩きながらわたしの顔を覗き込んでくる高瀬くんを見て我に返り、「なんでもない!」と平然を装ってそう答えた。
それにしても……高瀬くん、自転車を押しながらだからすごく歩きづらそう。
「高瀬くん、先に帰ってもいいよ」
「気にしないで」
「でも」
「いいから」
高瀬くんは、どうして今日初めて会った私なんかに優しくしてくれるんだろう。
自転車のカギを拾ってあげたから?
それとも、わたしが本当にさみしそうな悲しい顔をしていたから?
わからなくて悶々とひとり考えていると、高瀬くんが「そうだ」と口を開いた。