青春に、寄り道中。



「どうして今日は学校に来てたの?」

「いろいろな説明を受けに行ってたの」

「そっか」

「……高瀬くんは?」

「部活」



部活かあ……。
高瀬くんってなんの部活に入ってるんだろう。

結構細身だし、運動部っていうよりかは文化部な感じがする。



「そのあとに、担任に会って教室に明日配るプリントを持って行っておけって頼まれて」

「そうなんだ」



だから、ふつうだったらこんな夏休みに教室とかに来る人はいないはずなのに、高瀬くんはいたんだ。



「それで、なんの部活なの?」

「美術部」



男の子が美術部って、初めて聞いた。
新鮮だからこそ、彼がいったいどんな絵を描くのか気になる。



「今度、描いたの見たいな」

「俺すげえ下手だよ」

「でも、見てみたい」



わたしがあまりにもしつこくそう言うからか、高瀬くんは仕方なさそうに「いいよ」と答えた。



「吉井さんは?」

「わたし? わたしこそ絵はすごく苦手だよ」



美術とか、いつも成績は5段階中2とかだったしね。

とか思っていると、高瀬くんは「ははっ」笑った。


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