青春に、寄り道中。
だけどそこに入っていたものを見てすぐに、そんな気持ちはどこかへ飛んでいった。
だってそこには、落書きされたノートや教科書が何冊か入っていた。
それは、お母さんにバレないようにして捨てたかったけど、捨てられなくて隠していたやつだった。
怖いくせに、ノートに手を伸ばしてパラパラとページをめくった。
授業の板書の上からマジックやカラーペンで無造作に「キモい」とか「男好き」とか書かれていた。
だけどそんな悪口よりも、もっともっと傷つく言葉に目がいってしまった。
それは、陰でつけられていた、“カス美”というあだ名。
それを見て、胸がズキッと痛んだ。
大切な名前をこういうふうに呼ばれているのを知ってから、わたしは、この名前が大嫌いになった。
どうしてこんな名前をつけたんだって、思った。