青春に、寄り道中。



だけどそこに入っていたものを見てすぐに、そんな気持ちはどこかへ飛んでいった。



だってそこには、落書きされたノートや教科書が何冊か入っていた。

それは、お母さんにバレないようにして捨てたかったけど、捨てられなくて隠していたやつだった。


怖いくせに、ノートに手を伸ばしてパラパラとページをめくった。


授業の板書の上からマジックやカラーペンで無造作に「キモい」とか「男好き」とか書かれていた。


だけどそんな悪口よりも、もっともっと傷つく言葉に目がいってしまった。

それは、陰でつけられていた、“カス美”というあだ名。

それを見て、胸がズキッと痛んだ。



大切な名前をこういうふうに呼ばれているのを知ってから、わたしは、この名前が大嫌いになった。

どうしてこんな名前をつけたんだって、思った。


< 204 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop