青春に、寄り道中。
昇降口でも視線を浴びながら、自分の下駄箱がまだわからないからと、バッグの中から取り出したうわばきの入ってた袋にローファーをしまった。
転校生ってこんな気持ちなんだ。
緊張っていうよりかは、なんか恥ずかしいっていうか……。
そしてわたしはそのまま教室ではなく、職員室へと向かった。
職員室に入ると担任の先生はすぐに気がついてくれて、私を手招きした。
「吉井、おはよう」
「おはようございます」
「いよいよ今日からだなあ」
「はい」
40代の体育科の担任の長谷川(はせがわ)先生は、どことなくうれしそうに見える。
不安だらけのわたしとはぜんぜんちがう。
「本当にいいクラスだからなー」
「はい」
「あんまり心配しなくていいから」
「ありがとうございます」
そんなに言うってことは、本当にいいクラスなんだろうな。