青春に、寄り道中。
・ 茶色い瞳に映るのは
次の日の朝、いつもどおり学校へ行って下駄箱でくつを履き替えていると、クラスメートの女の子からの視線が痛いほど刺さった。
なんかいやな感じがする。
そう思って教室へ入ると、ワッとクラスの女の子たちが近寄ってきた。
「ねえ! 昨日、吉井さん、高瀬くんといっしょに帰ったでしょ!」
「え? あ、うん……」
詰め寄って聞いてくる女の子の隙間から、自分の席に座ってスマホを触る沙莉のことが見えた。
「前から思ってたけどさ、高瀬くんとどういう関係!?」
怒りと羨望とが入り混じったような感情で訴えてきたのは、沢村さんだ。
「だから……ただの友だちだって」
「本当に?」
「うん」
まっすぐに沢村さんのことを見てうなずくと、「そっか」と沢村さんや他の女の子はホッとしたように笑った。