青春に、寄り道中。
「……もういいかな?」
そう言って女の子たちの間を抜け、自分の席へ座った。
ただの友だちなのにそんなにしつこく聞かれると、こっちもちょっとイライラしてくるよ。
「おはよ、かすみん」
「おはよう」
「朝から、どうしたの?」
沙莉の耳には届かなかったのか、「大したことじゃないよ」と返した。
なんだかちょっとだけ、罪悪感がある。
「そうだ、高瀬くんから話聞いたよ」
「話?」
「陸上を続けるっていう話」
「そうなんだ。やっぱり続けるって?」
「うん」
今日からでも部員として来るって、あのあと高瀬くんは言っていた。
「大会があったら、皐くんと3人を応援しに行くね」
「うん、ありがとう!」
冬の努力の積み重ねが、春に結果となって出る。