青春に、寄り道中。



「どうしたの?」



バーベルを置いてフェンスに近づくと、沙莉が「忘れ物!」とブルーのカバーに身を包んだスマホをポケットから取り出して、わたしに見せた。


それは、どっからどう見てもわたしのスマホだった。



「うそ! どこにあった?」

「教科書忘れて教室にもどったら、机の上に置いてあったよ〜」

「本当?ありがとう! いま取りに行く!」



そういえば、着替えるときにブレザーのポケットにスマホがないことに気づいたけど、どうせバッグの中のどこかにあると思ってた。



岡田くんに「ちょっと行ってくる!」と声をかけて、グラウンドから出る。



今日は先生が職員会議でいない日。

だからこうやって抜け出すのも許されるけど、本当はこんなことしたら、たぶん怒られるんだろうな。


なんて思って、急いで沙莉のもとに駆け寄った。


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