青春に、寄り道中。
「沙莉!本当にありがとう!」
「ううん。 ほら、スマホないと困るでしょ?」
「うん! だから助かったよ〜……」
お母さんとも連絡取らなきゃだし、あのまま机の上に置きっぱなしだったら、だれかに盗まれたりしたかもしれないし。
本当、こうやって届けてくれた沙莉には感謝しなきゃ。
そう思ってホッとため息を吐いたとき、「早くもどってこいよ」と岡田くんの声がグラウンドから聞こえてきた。
「わかった」と言おうとしてグラウンドに目をやると、こっちのほうを見ていた高瀬くんとぱちっと目があった。
高瀬くんがこっちを見ていたのはきっと……沙莉がいたからだ。
こんなの、高瀬くんの気持ちに気がつくまでは、目が合うたびにちょっと期待してた。
そんな自分を思い出すだけで、恥ずかしくて顔が熱くなる。