青春に、寄り道中。



「華純?どうしたの?」

「え?」



次、ベンチプレスをやろうとしたとき、若菜が心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。



「だって涙目、だから」

「あはは、寒いと涙出てこない?」

「あーうん、まあ……」



わたしの返答に若菜は納得していなさそうだったけど、時間がないからと急いでベンチプレスに取り掛かった。


ベンチにあお向けに寝っ転がると、真っ白な空が視界に広がった。



――きっと、明日もあさってもしあさっても、またその次も。

高瀬くんの目には沙莉しか映らない。



それなのに、いつまでも報われない恋をしているんじゃ、時間がもったいないよね……。


“いま”という1分1秒を、大切に、楽しんで過ごしたほうがきっといい。
だって、高瀬くんがそう言ってたから。


だから、次の恋を探してみようかな。







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