青春に、寄り道中。



“2年2組”と書かれたプレートがドアの上に置いてある教室に着くと、先生はそのままドアを開けて中に入った。


「合図するまで廊下で待ってて」と教室に来る途中に言われたのを思い出して、私はそのまま足を止める。



そして廊下の壁に寄りかかって、教室の中の音に耳を澄ました。


先生がドアを開けるのとほぼ同時にチャイムが鳴って、教室の中からみんなが着席するような音が聞こえてくる。

廊下を急いで駆けて、それぞれの教室に入っていく人もたくさんいる。



わたし前を通り過ぎる人はみんな不思議そうに見てきて、わたしは顔を隠すようにうつむいた。



「今日は始業式もあるし服装とかはちゃんとしとけよー。移動時間とかはあとで黒板に書いとくからな」



そっか、始業式もあるんだ。

みんなが集まる中で、わたしひとりがちがう制服を着たら……これこそ本当に目立ってしょうがない。

いやだなあ、憂うつだよ。


< 25 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop