青春に、寄り道中。
「あの……!」
受付にいた看護師さんに、声をかける。
「どうされました?」
「わたしの母親が、運ばれたって聞いて……」
途切れ途切れになりながらもそう伝えた。
お母さんのいる部屋は、どこなんだろう。
「お名前は?」
「吉井ユリコ、です」
息を整えてからお母さんの名前を告げると、「少しお待ちください」と看護師さんが言って、手元にあるパソコンをさわった。
危ない状態っていうわけじゃないけれど、心配すぎてまだ心臓がドキドキと大きく鳴っている。
「203号室です」
「ありがとうございます!」
エレベーターを使って2階に行き、看護師さんに教えてもらった部屋の前に立った。
ドアの横にある名前の欄は6つだけど、そのうち埋まってるのは3つ。
お母さんの名前が最後にあった。