青春に、寄り道中。
ガラガラッとゆっくりドアを開けると、左の奥からふたつと右の奥のベッドはカーテンが閉まっていた。
名前が書いてあった順番と同じなのかな、と思って左の奥から2番目のベッドのクリーム色のカーテンをゆっくり開ける。
「お母さん?」
そこに寝ていたのはやっぱりお母さんで、声をかけてみるとお母さんはゆっくりと目を開けた。
「あら、華純……」
「大丈夫?」
「ええ、平気よ」
「よかった」
点滴はしてるし、お母さんの顔は疲労感たっぷりだけど、思っていたよりかは元気そうに見えて、ホッとした。
でも、お母さんがこんなに疲れながらも働いてくれていたことに、あらためて気がついた。
朝から晩まで仕事するお母さんの姿を、つい“当たり前”だと思っていたからこそ、申し訳なくなって胸が痛い。