青春に、寄り道中。
「しばらく入院してくださいって言われちゃった」
「そうなんだ……」
「華純には悪いんだけれど、家からいろいろ持ってきてもらってもいい?」
「うん、もちろん!」
しばらく、ってどれくらいなんだろう。
でも、もし退院したっていままでどおり朝から晩まで働いていたら、また倒れちゃうかもしれないよね。
……わたしも、お母さんに任せてばかりじゃなくて、いっしょにがんばらなきゃいけないな。
そのあとお母さんに促され、ベッドの横に置いてあった椅子に腰をかけた。
そして、ぽつりと「お母さん、ごめんね」と言った。
「……どうして、華純が謝るの?」
「だって、わたしのためにいつも働いてくれてるから」
「でも、謝ることじゃないでしょう。 働くことが悪いことじゃないんだから」
体を起こして柔らかく笑ったお母さんに頭をぽんぽんと優しく撫でられて、がまんしていた涙がぽろぽろとあふれた。