青春に、寄り道中。
「吉井、入ってこーい」
そして先生の簡単な連絡が終わると、なんの前置きもなくいきなり名前を呼ばれて。
それと同時に、クラスがざわつき始めた。
「俺さっきその子見た!」とかなんとか教室内から聞こえてきて、なんとなく行きづらい。
と考えていると、先生の「吉井〜?」という声を聞いて深呼吸をした。
……よし、がんばろう。
そう意気込んでから、わたしは教室の中へ一歩を踏み出した。
「ほら、静かにしろー。 今日からみんなの仲間になる、吉井だ」
先生の横に立って、クラスを見渡す。
まるでドラマのワンシーンみたいなセリフを言った先生は、わたしに「自己紹介して」とうながしてきた。
「吉井華純です。よろしくお願いします」
小さくお辞儀をすると、ぱちぱちと小さい拍手が聞こえてきて、そしてすぐにクラスのほぼ全員が拍手をして迎えてくれた。