青春に、寄り道中。



「でもどうしてこんな時期に?」

「あ、わたし……9月に引っ越してきたんです」

「そうだったの?知らなかったわ〜。 みなさん元気?」

「……あの、わたしの親は離婚したんです。だから母とここに越してきました」



そう言うと、おばさんと美波さんは少し申し訳なさそうな顔をした。


高瀬くん、言ってなかったんだね。



「言いにくいことを聞いてしまって、ごめんなさいね」

「……いえ、大丈夫です」



ちょうどそこで話が止まると、リビングのドアが開いて、わたしは後ろを振り返った。


スウェットを着て、濡れた頭をタオルで拭きながら入ってきた高瀬くんは、わたしに気づくなり、目を丸くさせた。



「あんたが風呂入ってるから、家に入れてあげたの」



状況がうまくよめてない高瀬くんに、美波さんがそう説明した。


< 263 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop