青春に、寄り道中。



「わざわざ、自転車届けに来てくれたんだ」



そう言いながら、高瀬くんはわたしの隣に座った。

高瀬くんの言葉にうなずくと、「ありがとう」と笑って言ってくれた。


迷惑だとは思ってないみたいだから、ちょっと安心した。



「それで、お母さんは?」

「あ、うん。大丈夫そうだったよ」

「そっか」



おばさんや美波さんの存在を無視しながら、高瀬くんは話しかけてくる。


わたしたちの会話の内容がわかっていないおばさんと美波さんは、ふたりいっしょに首を傾げている。



「俺、送ってくるから」



そんなふたりに、高瀬くんはちょっと呆れたように言った。


そして高瀬くんは立ち上がると、「行こう」と言ってわたしも立ち上がった。



「え〜もう帰っちゃうの? 華純ちゃん、また来てね」

「はい!」



わたしがうなずくと、美波さんに名残惜しそうな顔をされた。


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