青春に、寄り道中。
「なにかあったら、いつでも家に来ていいから。母さんたちも歓迎すると思うし」
そして柔らかく笑って、そう言った。
それって……いつでも晩ごはんを食べに来ていい、ってことだよね。
でも、大丈夫。
その優しさだけで胸がいっぱい。
「ありがとう」
「……じゃあ、また明日」
「うん、バイバイ」
手を振って、高瀬くんの姿が暗闇に消えていくまで見送った。
ふと、空を見上げると星が輝いていて、とてもきれいだった。
悲しくて下を向いていたら、星がこんなにきれいだとは、きっと気づかなかったんだろうなあ……。
よし! がんばろう。
いまはもうふたりしかいないんだから、いっしょに協力してがんばろう。
前を向いて、空を見上げて。
わたしならきっと、大丈夫。
もう後悔は作りたくないから、がんばるんだ。
なんて考えながら、アパートの階段を上って、自分の部屋に入った。
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