青春に、寄り道中。
今日もSHRが終わってすぐに教室を出ようとしたら、「待って!」と沙莉に呼び止められた。
「かすみん、今日も部活行かないの?」
「……うん」
「そんなにお母さんの容態が悪いの?」
「ううん、そういうわけじゃないんだけどね」
でも、バイトしてることはなんとなく言いにくい。
沙莉も若菜も、わたしのお母さんとお父さんが離婚していることは知ってるけど、それ以上は詳しく話していない。
それにお金の話とかは、友だちにしにくいし……。
「またね」
「うん、バイバイ……」
沙莉はまだなにか言いたげだったけど、わたしは手を振って急いで教室を出た。
今日のバイトは5時からだから、本当は途中までは部活に出れるけど。
なんか、そんな中途半端に出るほうがみんなに迷惑かけちゃいそうだったから、バイトが休みのとき以外は行かないんだ。