青春に、寄り道中。



中履きには履き替えずに、ただローファーを端のほうで脱いで、そのまま靴下で美術室の前まで連れてこられた。



そして椅子をふたつ出して、片方にわたしが座るようにと高瀬くんは言った。



「あの、ね……」



と、わたしは高瀬くんに話し始めた。



お父さんから養育費は決まった額は払われてるけど、学費や生活費、おばあちゃんの入院費にお金がすごくかかること。


だからお母さんが朝から晩まで働いていること、その負担を減らしたいからバイトを始めたこと。


そりゃあ母子家庭だからいくらかのお金の援助とかはあるらしい。

だけど、おばあちゃんの入院費と退院したあとの老人ホームのお金は、ちょっと高いんだ。


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