青春に、寄り道中。
・ ぜんぶ諦めたくない
バイトが終わって家に着くのは、だいたい9時半ごろ。
それからお風呂に入ったりすると、10時を過ぎる。
今日も疲れたなあと思いながら、わたしはホットココアの入った赤いマグカップを手に、ベランダに出た。
「わあ、きれい……」
白い息とココアの湯気が、もくもくと宙に消えていく。
空を見上げると視界いっぱいに広がるきれいな夜空を見て、思わずそうぽつりとつぶやいた。
藍色の空にいくつも輝く星。
冬の星座がよく見える。
今日は日中、雲ひとつないくらいの晴天で、夕方もきれいなグラーデーションの空だった。
だからこんなにもくっきりと星が見えるのかなあ……。
なんて思っていると、後ろからガラッとベランダの扉が開く音が聞こえた。