青春に、寄り道中。



「ほら、そろそろ入りなさい」

「はーい」



やっぱり外は寒かったからか、温かい家の中に入るとなんかホッとした。


そしてごくっと、残っていたココアを飲み干した。
じんわりと、温かいココアが冷えた体に染み込んでいくのがわかった。



「歩夢は元気かしらね」

「……んね、会いたいなー」



歩夢が中1だったとき以来、2年は会ってないことになる。

その2年できっと歩夢は大きくなったんだろうな、なんて考えると、余計に歩夢に会いたくなる。



お父さんと歩夢がいまどこに住んでいるのか、お母さんは知ってるのかな。



「ねえ、お母さん」

「なーに?」

「お父さんとは連絡とか取ってるの?」



そう聞いてみると、お母さんは目を丸くさせてから苦笑いを浮かべた。

そしてその表情のまま「ぼちぼちね」とぽつりと小さな声でつぶやいた。


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