青春に、寄り道中。



だって、仕事の邪魔はしたくないし。



「そうだ、歩夢は受験 終わったんだっけ?」

「うん、行きたいところの高校に受かったみたいよ」



そうなんだ。
じゃあ歩夢ももう4月から高校一年生なんだ……。

受験も終わったなら、近いうちに会えるといいな。



なんて思っていると、お母さんが「そうだ」となにか思いついたようにうれしそうに声をあげた。



「今度、連絡取ってみるわね」

「ほんと?!」

「ええ」



わたしが身を乗り出してそう聞くと、お母さんは優しそうに笑ってうなずいた。


歩夢はどんなふうになっているのかな。
きっと、背もわたしを追い越していたり、声も低くなっているんだろうなあ……。



歩夢にも、お父さんにも、会いたい。
4人でもう一度、笑いあいたい。


それが正直な気持ち。






*
.
< 279 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop