青春に、寄り道中。



少し離れてるからぼやけてはいたけど、たしかにそこにはクラスメートのはるかちゃんの姿があった。



「どうしたのー?」



と大声で走りながら、フェンス越しにはるかちゃんにそう言った。



「華純ちゃんに会いにきたって人がいるんだけど……」

「わたしに?」



はるかちゃんは正門の外を指差して、うなずいた。


そこには私服姿の男の子がこっちを向いて立っていて、学校の生徒は彼のことを不思議そうに見ている。



あれって、もしかして……。



「中谷歩夢、って言えばわかるって」

「やっぱり……!」



はるかちゃんに「教えてくれてありがとう!」と言ってから、ちょうど近くにいた五十嵐くんのもとに駆け寄った。



「ちょっと、ごめん!」

「え? だれか来たの?」

「うん、だからちょっと……行ってくる!」



そう言って、踵を返した。


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