青春に、寄り道中。
「……ていうか、どうして歩夢がここにいるの?」
歩夢の住んでるところからここはかなり離れてるし、新幹線とか電車とかバスとかを乗り継がないといけないくらいなはずなのに……。
「だって母さんが、会いに来いって」
すると歩夢は、頭をポリポリ掻きながらそうつぶやいた。
「今日は平日なのに?」
「開校記念日だったんだよ」
どうやらお母さんが、わたしの学校を教えたみたい。
歩夢は「散歩するついでだよ」なんて言うけど、どうせ歩夢はわたしに会いにきたかったんだろう。
……べつにわたしと歩夢は、仲のいい姉弟ってわけじゃなかった。
だけど、久しぶりに会えるのがうれしいと思うのはお互いさまみたい。
なんていうやりとりをしているわたしたちを、周りの人は不思議そうに首をかしげながら横を通り過ぎる。